パプアニューギニア・ウィルヘルム山をツアーに頼らずに登った話
※登山後にカメラを盗まれてしまったため、写真は1枚しかありません。ご了承ください。
はじめに
先日、パプアニューギニア最高峰・ウィルヘルム山(標高4,509m)に登ってきました!
実はこの山、「オセアニア最高峰」とも呼ばれることがあります。
“オセアニア最高峰”って、なんだか響きがすごいですよね?
でもネットで情報を探してみると、出てくるのは空港送迎付きの高級ガイドツアーばかり。
そのお値段、なんと20万円以上(約1,300米ドル)!
しかも、これには国際航空券は含まれていません。
「それでも登りたい!」と思ったものの、そんな贅沢な旅費は出せない……。
そこで考えました。
“バックパッカー的な節約スタイル”で登ることって、本当に無理なの?
もしかして、やってる人がいないだけなんじゃ?
そんな疑問から、ほとんど知られていない国・パプアニューギニア(PNG)を旅して、ついに格安でウィルヘルム山登頂に成功しました!
パプアニューギニア(PNG)ってどんな国?
- 首都&最大都市:ポートモレスビー
- 公用語:英語(多くの現地語がありますが、出会った若者たちはほとんど英語を流暢に話しました)
- 宗教:キリスト教
- 政治体制:イギリス連邦に属する立憲君主制(元はオーストラリアの統治下。現在も政治・経済的に深いつながりがあります)
- 歴史:第二次世界大戦中、日本軍もこの地に駐留していたため、今もその痕跡が残っています
治安は大丈夫?
外務省の海外安全情報では「レベル1:十分注意」に分類されていますが、正直に言うと、今まで訪れたレベル1の国の中では一番危険に感じました。
- タクシーは基本的に信用できない
- 在パプアニューギニア日本大使館は、まるで要塞のような厳重な建物でした
安全には十分すぎるほどの注意が必要です。
ウィルヘルム山について
- 標高:4,509メートル
- パプアニューギニア最高峰
オセアニア最高峰については、実は少し議論があります。
インドネシア領にある「プンチャック・ジャヤ(4,884m)」の方が標高は高いのですが、この山は特殊な許可や高度な装備が必要です。
一方、ウィルヘルム山はパプアニューギニア領内に完全に位置しており、特別な許可なしで登れる最高峰。
そのため、多くの人が「登れるオセアニア最高峰」として、この山を目指します。
旅の記録:ウィルヘルム山への道
2023年9月15日
13:15 – 成田空港
セブパシフィック航空でマニラへ出発。
2023年9月現在、日本からパプアニューギニア(PNG)への直行便はなく、フィリピンまたはオーストラリア経由が一般的です。
17:05 – マニラ到着
パプアニューギニア行きの便は、フィリピンまたはPNGの航空会社が運航しています。
フィリピン系航空会社の方が安くてサービスも良い印象。
幸運にも、パプアニューギニアのナショナルフラッグ・キャリア「エア・ニウギニ」のセール運賃をゲットできました!
21:25 – マニラ出発
空港内の無料シャトルバスで国際線ターミナルへ移動し、予定通りにフィリピンを出発。遅延はありませんでした。
2023年9月16日
05:00 – ポートモレスビー到着
ついにパプアニューギニアに到着!
空港内で日本円からキナへの両替が可能でした(おそらく国内で唯一、円を扱っている場所です)。
国内線ターミナルの案内表示には日本語もあり、乗り換えもスムーズでした。
09:40 – ポートモレスビー出発
エア・ニウギニの国内線で内陸部の街「ゴロカ」へ。
PNGではジャングルや部族地域により都市間に道路が通っていないため、わずか400kmの距離でも飛行機が必要。
このフライトで約4万円の出費。
11:05 – ゴロカ到着
ゴロカはイースタン・ハイランド州の州都。
ウィキペディアには「何もない」と書かれていたけど、実際の空港には入口付近にカフェ、ゲート内に小さなお土産店がありました。
ここからウィルヘルム山登山の拠点「クンディアワ」を目指します。
バスターミナルは空港の北西側にあり、バスはトヨタのコースタータイプのミニバス。
多くは日本から寄贈されたような車両でした。
時刻表はなく、満員になったら出発。
並ぶ文化もなく、運転手たちは乗客の奪い合い状態で、かなりカオスでした。
30分以上待って、ようやく出発。
運賃は500キナ(約2,000円)。
所要時間は3時間ほどで、途中に休憩ポイントもありました。
意外だったのは道路が完全に舗装されていたこと!
未舗装を覚悟していたので、これは嬉しい誤算でした。
15:30 – クンディアワ到着
クンディアワには中国系のスーパーマーケットがあり、基本的な買い物は可能です。
この日は100キナ(約4,000円)の宿に1泊。
しかし、食事・Wi-Fi・お湯すべてなし。
施設の割に宿泊費が高く、開発途上国とは思えないコスパの悪さにショックを受けました。
まともな宿が見つかりにくいため、安心して旅したい方は信頼できるツアーに参加するのも一案です。
外国人向けの高級ホテルとされるMt Wilhelm Tourist Hotelですら、Wi-Fiやお湯がないこともあるそうです…。
2023年9月17日
ついにウィルヘルム山登山の拠点・クンディアワに到着!
ただし、地図やガイドなしで登るのは危険なので、地元のガイドを雇うことに。
前日のバス移動中に、偶然ガイドの兄弟がいるという人と出会い、その縁でガイドを手配できました。
クンディアワはモシ(キリマンジャロ)やラパス(ボリビア)のようなツーリストタウンではありませんが、宿に聞けばガイドは見つかると思います。
雇ったガイドは100キナ(約4,000円)で宿代込み(食事・交通費別)。
なぜかポーターが2人も同行(頼んでないのに…これが普通なのかは不明)。
朝、中国系スーパーで食料を買い込み、昼頃にコースターミニバスで出発。
バスを乗り継ぎ、最終的にDenglagu Mission付近まで移動しました。
交通費は500キナ × 2台 × 4人=4,000キナ(約7,500円)。
…正直、ポーター2人は不要だったかも。
Denglagu Missionからトレッキング開始。途中、旧滑走路や観光客向けのBetty’s Lodgeを通り、森の中の登山道へ。
夕方には湖の近くの山小屋に到着(Googleマップにも表示あり)。
宿泊費は100キナ。ベッドはありましたが、日本の山小屋とは違い、非常用避難所レベルの簡素な施設です。
2023年9月18日
ガイドが夕食を作ってくれた後、少し仮眠。
深夜0時に起床して焚き火で体を温め、登頂開始!
すでに標高2,000mを超えているはずなのに、意外と暖かくて半袖でスタート。
1時間おきに休憩しながら登り続け、徐々に気温が下がっていきます。
気付けば完全な冬装備に。赤道直下とは思えない寒さ!
約6時間の登り(最後は軽いロックスクランブリング)を経て、ついにウィルヘルム山の頂上に到達!
山頂は3人ほどが座れる程度のスペース。記念撮影もしましたが、残念ながらカメラを盗まれて写真は残っていません…。
15分ほど頂上を堪能した後、下山開始。
帰りは3時間ほどで山小屋に戻り、昼過ぎまで仮眠 → 昼食 → クンディアワまで同じルートで戻りました。
あとがき
登山後はバスでゴロカに戻り、そこから国内線で首都ポートモレスビーへ移動しました。
しかし、ここでトラブル発生。フライトが10時間遅延したにもかかわらず、事前案内なし。
まさに「PNGクオリティ」…。
そして最悪の出来事が。ポートモレスビーのホテルから空港へ向かうタクシーの中で強盗被害に遭いました。
カメラ、スマホ、さらには各種パスワードまで盗まれるという大事件…。
その詳細は…また別の機会に語ります。
パプアニューギニアについて思ったこと
一番驚いたのは、携帯電話の普及率の低さ。多くの宿泊施設ではWi-Fiが使えず、インターネット環境はかなり限定的です。
数日以上滞在するなら、現地SIMカードの購入を強くおすすめします。
もう一つの驚きは、生活費の高さ。
「開発途上国=物価が安い」と思って行くと、確実に裏切られます。
安いのは地元産の果物くらい。
ビールや輸入品は日本より高いことも…!
ウィルヘルム山登山について
今回の登山は、クンディアワから1泊2日の日程で登頂できましたが、
体力や天候によっては3日かける人も多いようです。
登山口付近は暑いですが、山頂は極寒。
ダウンや手袋、ニット帽など、本格的な冬装備が必須です。
今回は運よく晴天に恵まれましたが、現地では晴れは珍しいとのこと。
道中はぬかるんだ箇所も多く、レインウェアなど防水装備も重要です。
現地には装備レンタル店は見当たらず(ツアーに参加すれば貸してもらえるかも?)。
装備は自分でしっかり準備して行きましょう。
最後に
今回はバックパッカー的に、すべて自力手配&現地ガイドで登頂に成功しました!
パプアニューギニアやウィルヘルム山についての情報はまだまだ少なく、初めての人にはハードルが高く感じられるかもしれません。
この記事が、同じような冒険を考えている方の参考になれば嬉しいです。
ご質問や気になる点があれば、ぜひコメント欄にどうぞ!
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